ITOKI

ITOKI Open-DX Lab

for your inspiration.

Edo×イトーキ 地域の教育力強化のための「AI・メタバース」を活用した学習環境開発プロジェクト

本プロジェクトの背景と目的 

-Edo New Schoolと、5つの資質・能力 

 Edo社は2023年7月に中高生向けの探究スクールEdo New School®(エドゥニュースクール、以下ENS)を開校しました。ENSとは中高生向けの探究スクールで、「中高生の放課後を面白く!好きを探究する学校」をテーマとし、目指すスクール生の姿として「やってみたい!を見つけ、やれると思える自分になる」を設定し5つの資質能力の向上を目指したカリキュラムを岐阜県飛騨圏域の中高生に提供しています。 
 ENSでは、文部科学省が掲げる学力の3要素、OECDが掲げるキーコンピテンシーなど複数の指標を参考にしながら独自の5つの育む力(1:ワクワクする好奇心、2:自分を表現する力、3:チャレンジする冒険心、4:人と協働する力、5:自分と社会を結びつける力)を成果指標として設定しています。イトーキが提唱するITOKI Smart Campus Conceptもこの5つの資質・能力と親和性が高く、Edo・イトーキ共に共感しプロジェクトを推進しています。 

-プロジェクトの背景と目的 

教育を取り巻く環境は今大きく変化しています。例えば、人口減少に伴い地方の学校や企業、コミュニティの急速な縮小/改編も、その変化の1つと言えます。こうした変化によって、新たな連携や学びのプラットフォームが求められます。これまで教育といえば主に「学校」が担ってきたものでしたが、人口減少社会においては「学校が担うもの」から「社会全体で担うもの」という意識を高めていく必要があります。社会や人が成長を支援することができ、それぞれが目的を共有し、繋がり、補完しあえる状態。Edo社は、この状態を目指すべき教育の姿と捉えており、社会全体で担う教育を「生態系」による教育と表現しています。 
    生態系による教育を実現するには、これまで以上に少ないリソースで効率的な教育の現場作りが必要であるとともに、凄まじい速度で発展し続けるAIなどの先進技術を有効活用しより高付加価値な学びの提供が求められています。Edo社は、「AI」や「メタバース」などの先進技術を活用することで、現在の教育(学校教育、社会教育)がどのような成果を生んでいるのか。それにより、社会にどのような影響を及ぼしているのかを可視化することを目指しています。イトーキはITOKI Smart Campus Conceptの現場実装取り組みの中で文部科学省『令和4年度 次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進事業』に「メタバースを活用した探究/協働学習・リモート国際交流の実践」をテーマに事業採択された実績もあり、Edo社と共同で、新しい「学び」の環境の研究開発プロジェクトを推進するに至りました。 

活用する技術と、学習環境における提供価値 

-多様な人と協働できるメタバース技術 

 展開予定の各地のスクールに通うスクール生同士が地域を超えて学び合ったり、スクール生が制作したチラシや造形物を3Dデータ化しメタバース上でより多くの人と共有したり、参加する地域それぞれの課題や解決に資する取り組みをメタバース内に展示したりと、既存のオンライン会議システムでは実現できなかったコミュニケーションをメタバース空間で実現します。イトーキは、場所にとらわれず多様な人と協働的学習が行える「バーチャルEdo New School」をデザイン・構築しました。

-探究学習をサポートする対話型AIサービス 

 好きを探究する学習において、実際の地域やそこに住む人から刺激を受けることが重要です。そのサポート/コーディネートをしてくれる対話型AIサービス『ぐりん』を開発し、ENSでの試験運用を進めています。ENSで開発された地域情報を集約させたカード(地域資源カード)や地域Webサイトの情報をAIに学習させ、生徒の自由な質問や地域に関するニッチな問いに対して、飛騨に詳しい先生さながらの回答をリアルタイムに行うことができる。こうしたAIを活用しながら、個人の興味と地域資源のマッチングや、探究学習に必要な問いかけを行っていきます。

-ハイフレックスグループワークセット(装置)の活用 

 同一空間内でリアルとオンラインを織り交ぜグループワークを行う場合、複数チームがオンライン接続を行うと遠隔参加者にはチーム関係なく教室全体の声が届けられてしまうため、リアルとオンラインが自由にグループを作りワークをするのは音環境的に非常に困難でした。 

    ハイフレックスグループワークセットは、AIサウンドバーを活用しその課題を解決します。AIサウンドバーがグループ参加者の顔を認識し、サウンドバーのカメラに映っている人の声をクリアに抽出技術です。この技術を活用することにより、AIサウンドバーが置かれているグループの声だけを鮮明に遠隔参加者に届け、他のグループの声はカットしてくれるため、リアルとオンラインの隔たりを感じさせないスムーズな対話が実現できます。また、リアル空間で話者が複数に及ぶ場合、話者を自動で識別しカメラを自動ズームする機能も搭載しており、これらの機能により空間の制約を超えた新しい学びの環境を実現することができます。

-教育データ活用 

 教員及び伴走者が生徒一人一人の様子を的確に判断し、成長をサポートしていくことは重要であるという前提のもと、その判断を補うためにデータを活用する必要があると考えています。リアル/オンライン/ハイフレックス環境における会話量や発散収束の推移など、様々なデータを収集し能力・資質の変化をEdo独自開発の「非認知能力測定テスト」とイトーキが開発している「グループワーク分析システム」などを利用して、学習効果をデータの視点で検証を行います。

まとめ 

 今回の共同研究において、メタバース技術や対話型AIサービス等の技術の活用、デジタルデータを活用した学びの可視化・分析・評価を行うことで、地域を超えた学びや探究学習によって子どもたちの視野が広がることを期待しています。子どもたちが「やってみたい!を見つけ、やれると思える自分になる」をより自由で効果的な学びで実現したいと考えます。また、このような教育環境の実現により、地域の活性化にも貢献することを期待しています。

TOP