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A Touch of Magic クリエイティブの源

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海外の働き方を紹介するシリーズ企画「WorkStyle Wonders」第2回目。
米ディズニー社の子会社で、テーマパークのアトラクションやパレード等を開発するウォルト・ディズニー・イマジニアリング・クリエイティブ・パリ。同社でクリエイティブ職として働くジュリアン・デスコテスさんに登場頂きました。ON・OFFの切替えかたから健康維持法、副業の効果まで、「クリエイティブ」に生きる秘密が盛りだくさんです。

ウォルト・ディズニー・イマジニアリング・クリエイティブ・パリで日々忙しく働いていますが、私にはそもそもON・OFFを切り替えるという発想がありません。常に新しいアイデアを考えていますし、問題を解決しようしています。真夜中に目が覚めて、思いついた解決策を書き留めたりすることもしばしばです。

でも、強制的に切り替えねばならないこともあります。有効なのが音楽です。覚醒した脳をスリープモードに導く音楽もあれば、身体のリズムを変える音楽もある。緊張をほどいてリラックスしたい時にも効果的です。音楽は人生の大事な一部で、いつも聴いています。

散策などのアウトドア活動を通じて、母なる自然と繋がり、その懐に戻ることも大事にしています。歩きながら新鮮な空気を身体に取り入れると、それまでより遥かにクリエイティブで効率的な自分になれたことを実感できます。好きなハイキングエリアは、カリフォルニアのヨセミテです。

ジュリアンさんは、複数の仕事を並行して進める「プロジェクト型」の働き方をしている。ひとりで複数のプロジェクトを掛け持ちするが、プロジェクトを成功に導くにはそれぞれのチームでの一体感(連帯感)も重要。何か工夫していることはあるのだろうか

私たちの仕事は、それぞれのスキルを発揮してトップクオリティのアートワークを生むことで、ディズニー・マジックに貢献することです。早いペースでたくさんのプロジェクトを進めていますが、締切を守りながらもディズニー品質を追求し続ける、頑丈なコラボレーションシステムをつくりあげています。大切なのは、チームスピリットとチームワークです。

鍵となるのは、チームメンバーのコミュニケーション。毎週、定期的に行われる運営ミーティングやデザインミーティングに加え、頻繁にチーム・スピリット・イベントが実施されます。仕事終了後に、全チームのイマジニア達が集まって、純粋なフレンチ・スタイルで楽しむ会合を行ったり、ときにはみんなで一緒に美術館を訪問することも。

このような時間が、チームとして力を発揮するための絆を養ってくれます。

一方でワークスペースは、メンバーそれぞれが集中力を保ちながらアイデア交換もできるよう、セミ・クローズドな状態となっています。また会社は、メンバーのモチベーション維持のためにさまざまなツールを用意しています。そのひとつの例として、従業員の貢献に敬意を表するための賞「サービス・アワード」があります。

つねに創造性(クリエイティブ)が求められる立場にあるジュリアンさん。「クリエイティビティ」についてどう捉えているのだろうか? またそれを生み出し続けるにはどうしたらいいのだろうか。

クリエイティビティとは、既存のアイデアに挑み、枠にとらわれない思考をすることだと考えます。クリエイティビティが開花するのは、何かを改善しようとしている時、そして、より生産的になろうとしている時です。

「クリエイティブ」とは、世界を再創造し、より良い状態にもっていくことでもあります。

問題を解決する人はクリエイティブであることが多い。最近の若い世代はチャレンジを求められることが多いので、よりクリエイティブになりやすいと感じます。

ウォルト・ディズニーの言葉に「デザインしたり、クリエイトしたり、世界で最も素晴らしい場所をつくったりすることは可能だ。でも、夢を現実にするには人がいないとできない」というものがあります。クリエイティビティは個々に備わっているものですが、私は「友好的な雰囲気がクリエイティブであることを促す」と思っています。

そのためには場所や環境も大切です。先ほどご紹介したセミ・クローズドなワークスペースは良い解決策です。完全に個々が孤立していたり、完全にオープンだったりしないところがいいです。

ちなみに、私は仕事仲間を「クレイジーな脳みそを持ったクリエイティブな野獣」たち、と呼んでいます(笑)。クリエイティブであるためには、少々クレイジーでなければなりません。各自が人生体験とクリエイティビティを持ち寄り、それらがうまく反応すると、美味しい料理のようになります。私たちは個性も仕事に活用します。8年以上もこのようなチームと共に仕事ができて本当に幸運だと思っています。

ジュリアンさんは"ミール・シェアリング"サービスである「VizEat(ヴィジート)」(現在は「Eatwith(イートウィズ)」)に自宅で手料理をふるまうホストとして参加している。シェアリング・エコノミーの外食版で、自宅で料理を振る舞いたい人と外食したい人を繋げるサービスだ。忙しい日々のなか、なぜこのような活動に参加しているのか。

「料理をする」ことは私のDNAに織り込まれています。小さかった頃、母が子供用のお料理セットを与えてくれ、私はそれを使って両親と4人の兄弟姉妹のために料理していました。

当時からある「料理に対する情熱」が、タッパーウェア・フランスでの地域セールス・マネージャーという仕事に結び付きました(当時はディズニーの仕事と兼務)。

この副業を通じて多くのクッキングレッスンを企画し、私と同じように料理に対するパッションを持つ人々に会うことができました。

Airbnbを活用して各地に滞在したり、逆に自宅を貸したりもしていました。そこでも素晴らしい人たちとの出会いがあり、シェアリング・エコノミーを自分のライフスタイルに取り込むきっかけとなりました。

そんな状況だったので、ロサンゼルスの友人がVizEat(現在はEatWith)について教えてくれた時、これまで学んだことや自分が好きなことを全て活かせる素晴らしいチャンスだと思ったんです。(当時住んでいた)ハリウッドの自宅でディナーパーティを開催して新しい人々に出会え、得意のフランス料理でLAに訪れたお客様をおもてなしできるなんて・・・と感激しました。

こうした経験を通して、料理で人をもてなすこと=食を通じたコミュニケーションというのは非常に奥が深いものだと改めて感じました。責任感ある大人に成長するためにも大きく貢献する行為なのではないかと思っています。なぜなら、料理で人をもてなすことは、構成を考え、ゲストのニーズに気を配り、歓迎する雰囲気をつくりあげる訓練になるからです。それに加え、自分で作る料理はヘルシーでリーズナブルです! 

私は料理をするDNAを与えてくれた母に感謝しています。そして、自分の経験をおもてなしに活かせることを何よりの喜びだと感じています。

前述の通り、ジュリアンさんはディズニーで働きながら、タッパーウェア・フランスでの地域セールス・マネージャーという仕事も兼務していた。副業のメリットやデメリットはなにか。また忙しい日々のなかでの健康維持法についても語ってもらった。

私は、ふたつのフルタイムの業務を5年にわたり掛け持ちしました。それは、有意義であると同時に、とても大変な日々でした。

ウォルト・ディズニー・イマジニアリング社とタッパーウェア社。その両方の仕事を十分にこなすために念入りに計画を練る必要がありました。そのおかげで学んだことも多く、組織力や物事などをまとめる能力が強くなったのは言うまでもありません。

副業で得た追加収入は、自宅の建築や、趣味の旅行に充てることができました。

当時は、目的もなくダラダラと時を過ごすよりも、働くときは全力で働く、OFFの時間は目一杯楽しむ方が素晴らしいと思い、計画的に働いていました。ただ、今になって考えてみると、その働き方で消耗したことは確かです。1週間のうち、くつろげるのはひと晩のみ......ではなくて、1週間のうち、まる一日は休みをとる、という働き方をするべきだったと今は思います。

いまもそうですが、健康のため「何を食べるか」に気をつかっています。全食事の8割は自炊、残り2割は外食で人と交流しながらの食事を楽しんでいます。とにかく、一週間に一度は「本当に納得できる食事」をすることが重要です。

あとは適度な運動。私は車に乗るよりも歩くことを好みます。平日の昼休みを45分のジムセッション(たとえばカーディオやアクアジムなど)に充てることもありますし、最近では美しい春の季節を満喫するために週に3回、朝に25分ほど走っています。時間がとれるときには、1週間に1度か2度、まる一日のハイキングにでかけますし、できるだけ水泳もするようにしています。

健康を気遣わないと、なにも成し遂げられないと考えています。自分の時間をもつことは、健康のためにもいいし、日々のストレスを解消することにもつながります。健康であることが、ONの自分をより効率的にするのです。

最後に、日本の読者へジュリアンさんからのメッセージを。

このような機会をいただき、私のストーリーをシェアできることを、非常に光栄に思います。日本は伝統もあり豊かな国。多くの分野で世界の模範となっています。お互いの違いから学び合えるとよいなと思っています。ありがとうございました!

Work Style Wonders

常に変化し続けるワークスタイルに「正解」はない。
海外の企業や企業人のユニークな取り組みから「驚き」と「発見」を発信していきます。
ー『Wonder is the beginning of wisdom. 驚きは英知の第一歩である』 ソクラテス

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