ITOKI

ITOKI Open-DX Lab

for your inspiration.

「世界で最も入りにくい」とされるミネルバ大学の驚きの戦術とは?

overview

2014年の開校ながら世界中から約25,000人の志願者を集め、米ハーバード大学や英ケンブリッジ大学と並ぶ超難関校となったミネルバ大学(本部:米サンフランシスコ)。特定のキャンパスをもたず、学生は4年間で世界7都市に滞在しながら、全授業をオンラインで受けるという異色の大学は、いかにしてその地位を築いたのか。アジア担当マネージング・ディレクター、ケン・ロス氏に話を聞きました。

ミネルバ大学とはどのような大学なのか、教えていただけますでしょうか。

ミネルバ大学は、世界のトップレベルの学生に最高のリベラルアーツと科学を提供するため、アメリカのKGI(Keck Graduate Institute/ケック大学院研究所)をパートナーとして2012年に設立、2014年に開校しました。2021年6月にはWSCUC(公認の高等教育機関認定機関)に独立大学機関として認定されています。私たちのミッションは、世界のために英知(Critical Wisdom)を提供すること。世界の未来は、より優れたリーダー、より賢いイノベーター、そしてより多くの情報をもった地球市民にかかっています。そこで私たちは、次代を担う優れた人材を育て、現代の複雑な課題を共に解決していきたいと考えました。その最先端プログラムは、厳格な学際的教育、4年間のグローバルイマージョン、多様性に富んだ国際色豊かな学生構成、そして家庭の経済状態によらない実力主義(学費の支払い能力にかかわらない入学制度)などを特徴としています。

ミネルバ大学はキャンパスをもたないオンライン授業をいち早く導入しましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの影響はありましたか?

ミネルバ大学の教育モデルは、いかなる事態にも揺るがない設計がされているため、パンデミックに直面しても驚異的な回復力を発揮しています。ミネルバ大学の学生は、4年間で世界の7都市を回り、寮生活をしながら学習型カリキュラムと実践型プログラムの両軸で学ぶのですが、パンデミックで大きな被害を受けたハイデラバード(インド)とブエノスアイレス(アルゼンチン)では、安全上の理由から一時的に寮を閉鎖しました。しかし、その他の都市(サンフランシスコ、ソウル、ベルリン、ロンドン、台北)では、各地の自治体の協力を得ながら、グローバルなイマージョン体験を安全に提供するため引き続き運営を行っています。そもそもミネルバ大学のカリキュラムは、「アクティブ・ラーニング・フォーラム」と呼ばれる独自のオンラインプラットフォームを通じて提供されるため、学生たちはパンデミックの間、何の中断もなく学習を続けることができました。そのおかげで、昨年も今年も卒業生を無事送り出しています。この間、回復力や柔軟性に欠ける教育機関は、学生の学習進度が遅延したり、一時的に閉鎖したり、あるいは完全に廃業したりせざるを得ませんでした。このような理由から、いまや世界の多くの大学や教育機関が、この困難な時代を乗り越えるのに必要な改革と革新を行うため、ミネルバ大学の教育モデルを求めるようになりました。

パンデミックというかつて体験したことのないこの環境の中で、新しく生まれた取り組みはありますか?

ミネルバ大学は、パンデミック下の18カ月間においても常に発展し、学び続けています。たとえば世界中の大学やその他の教育機関と提携し、ミネルバ大学の教育的アプローチ(学際的なカリキュラムデザイン、完全なアクティブラーニング、オンラインプラットフォーム技術の使用など)をさまざまな機関で実施できるよう推進しています。現在、数十の新規、既存の大学と提携し、ミネルバ大学の教育モデルを用いた高度で特徴的なプログラムの設計、開発、提供を行っています。同時に、昨年は「ミネルババカロレア」を発表しました。この画期的な中等教育プログラムにはすでに大きな関心が寄せられ、世界中から厳選した高等学校に提供しています。

ミネルバ大学の教育ノウハウがさまざまな教育機関と共有されているのですね。学生の入学希望者の数に変化はありましたか?

ミネルバ大学への応募は、パンデミック期間も含めて年々増加し、直近の願書受け付けでは世界中から25,000人を超える応募がありました。

学生からの人気が高まっているようですね。最後に、大学のコンセプト、役割についての考えをお聞かせください。

そもそも今日あるような大学は、必要なものなのでしょうか? ミネルバ大学では、若い人たちが仲間と一緒に世界を体験しながら、専門分野や言葉・文化を超えて重要な知恵を生み出すことを、自ら積極的に学んでいきます。複数年にわたる学習の旅――というこのコンセプトが、これからの世界のために適切なモデルであると信じています。その核となるオリジナルのアイデアは、多くの点で常識を超えているように見えます。でも、私たちの目的はあくまで「高等教育の再創造」なのです。ミネルバ大学は効果的で、現代的で、適切な大学教育がどのようなものであるべきかを世界に示し、また、他の教育機関がそれを採用できるよう、これからも尽力していきたいと考えています。

Work Style Wonders

常に変化し続けるワークスタイルに「正解」はない。
海外の企業や企業人のユニークな取り組みから「驚き」と「発見」を発信していきます。
ー『Wonder is the beginning of wisdom. 驚きは英知の第一歩である』 ソクラテス

TOP